2013年3月 記事一覧

日本銀行の正副総裁が交代し、黒田体制がスタートした。
これまで日銀正副総裁人事について、その政策に議論が及ぶことはなく、出身母体や政治的思惑、官学民のバランスといったことしか議論されなかったが、今回は初めてその政策の中身に議論が及ぶこととなった。本来、人選については、「誰がいいか」ではなく、「何を施策としてしようとしているか」で選ばれるべきである。そういう意味においては、今回は画期的な選択の仕方であったと思う。

 

ところで、黒田新総裁が批判的に述べられているように、日本はここ15年間にも及び、デフレに悩まされてきた。インターネットには、世界なんでもランキングが示され、デフレは183カ国のうち最下位の183位。経済成長率も先進国の中では、極めて低水準。円高は強烈で、自動車も家電業界も長期間極めて厳しいうちに放置された。
学生も中高年の就職も極めて厳しい状況に置かれ、多くの家庭の所得も厳しい状況に苦しんだ。

 

政権が変わり、アベノミクスの路線が示されると市場は直ちに好転してきている。
こうした中にあって、日銀は多くの経済学者から厳しい批判を受けていたにもかかわらず十分な対応をしてこなかったのはなぜなのだろうか。
理由としては、①デフレ下の経済状況が大変厳しいものだという認識がなかった。
②認識はあったが、それを改善していくべき手段が見いだせなかった。③手段はあったが、日銀法の解釈上の理由や、政治的理由等で実行することができなかった。といったことなのだろうか。
後日政策会議の議事録等が公表され、どのような議論が行われていたのか国民は知ることができるだろう。しかしそれとは別に、今後の金融政策にも資するよう、どのような考え方を持って金融政策を行ってきたのか、前総裁、副総裁は退任に当たり、国民に対し分かりやすく説明をすべきだと思う。

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は、先週(2013年2月26日)行われた上院銀行委員会での証言で、安倍首相が掲げるリフレ政策を支持する考えを示している。
同氏は、デフレ脱却を示す安倍政権の政策に対し、円安を求める通貨戦争への突入を憂う一部の議論に、「国内目標の達成を目指す金融政策の採用を通貨戦争への突入とはみていない。」と述べ、否定的な考えをくり返し明確にしている。
また、同議長は、円相場のここ数カ月の下落に一部の国が懸念を表明していることについて、「日本の政策の主眼は、為替相場の押し下げではなく、金融緩和によるデフレ脱却にあると推定される」とし、さらに成長のための支援を必要とする主要諸国が需要を刺激する政策を取れば、「相互に有益」だと指摘している。
バーナンキ議長は「日本はデフレを追い払う努力をすべきだ。自分はデフレ一掃を目指す日本の取り組みを支持する」とも発言している。

 

このように、バーナンキ議長の考え方は明確である。根底には、自身がアメリカで行ってきた資産購入は、景気拡大を支援している一方で、インフレや資産価格バブルを引き起こすリスクはほとんどないという考えがあるからだろう。
このような議論をアメリカのFRBの議長と日本の中央銀行の間で行うことは大変に意味があることだと思う。経済学になじみのある人どうしなら、諸外国のエコノミストときちんとした議論をすれば、すぐに理解し合えることだと思う。

 

本日(2013年3月4日)、黒田日銀総裁候補が国会で所信を述べられていたが、黒田氏の議論もバーナンキ議長と通じるものがあると思う。日銀は、市場にもはや国境がなくなってきている以上、諸外国のエコノミストと十分な議論をしていく必要がある。黒田氏のような国際的なエコノミストに、プロフェッショナルな対外的な発信や議論を大いに期待したいと思う。

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