2013年7月 記事一覧

経済産業研究所中島厚志理事長の論文に示されているように、下図が示す日本の政府債務残高の名目GDP等に対する推移は、明治23年以来太平洋戦争時を超えて、最悪の比率になっている。戦時中の経済規模が現在と比べて大変小さかったことを思えば、実額においては現在の国債発行規模が恐るべきほど大きいことは容易に想像できるところだ。

 

 

また同氏によれば、戦後の激しい物価上昇で、戦前や戦時中に発行された国債の実質的価値が99.7%も失われることになったとしている。子供の頃に、祖母からぼろぼろになった本物の国債を見せてもらったことがあり、その時の光景を今でも思い出すが、無価値となった国債を祖母ばかりでなく多くの国民がその負担として持つことになったのだろうと思う。

 

 

こればかりでなく、今日の日本国債の状況は国際的比較や悪化の速度等様々な指標において、日本の政府部門の債務が異常な状態にあることを物語っている。国債の発行残高の増大は、政府部門の業務の拡大、規制の強化、将来の増税を物語る。借り入れは必ず利息を伴って返還されなくてはならない。つまり、国債の発行は必ず将来の増税をもって支払われなくてはならないのだ。

 

7月21日、参議院選挙が行われ与党の大勝によりねじれは解消したが、国民がそれだけの強い権限を与党に与えた以上、与党はより強い責任と慎重さをもって政策を行っていかなくてはならない。太平洋戦争中の比率を超える政府債務比率をさらに超えて拡大を続ける政府の借金を見れば、戦時中の大政翼賛会のようになるのではなく、財政規律の強化、思い切った規制緩和による民間活力の活用等、真剣に行っていくべきであろう。

今回の選挙で大勝した与党に対し、国民はさらに厳しい目で大きな期待をしていると感じている。

shakai

民主主義の議会は、よく話し合いをし何が国民にとって一番良いことかを検討し、判断をするところだ。情報を集め、議論を尽くし国家や国民にとって最善となる判断をするべきところだ。そうした観点から、いわゆる「ねじれ議会」を「バランス議会」あるいは「バランス国会」として評価する声は根強い。

 

現にアメリカは大統領と上院は民主党だが、下院は共和党が過半数を取っている。アメリカではこのようにどこかがねじれている事が普通であって、米国民もそのバランスがと れるように「バランス議会」を意識して投票しているように見受けられる。

 

さらに、米国の場合法案に対する「党議拘束」がほとんどなく、議員は個別に議案について判断し賛否を投じている。そのため、法案を提出し、あるいは支持するものは個別の議員に対し、理解を深めまた賛成をしてもらうよう議論を尽くそうとすることになる。日本の場合、ほとんどの法案に対し党議拘束がかかるため、賛否の数は党派別の議員数が決まる選挙においてほぼ確定してしまうことになる。そうなると、衆参両院で過半数を取りねじれを解消してしまえば、いかなる法案も与党と政府が合意することによって実質的に決まってしまうことになる。どんな議論をその後しようと数の論理で賛否は決まっているわけだから、意味のある議論が十分に行われることは期待しにくい。

 

戦後、自民党政権が長く続いた時は、力のある派閥がいくつもあり、その中で極めて熾烈な議論が尽くされていた。今はそのような派閥も影をひそめており、与党の判断がそのまま国会の判断となる恐れもでてくる。特に参議院は何のための2院制か問われることにもなるのではないか。

 

それぞれの立場が有り、それぞれの考え方があって議論が行われるのだ。「ねじれ国会」を何のために解消しようとするのか、その結果何を得ようとするのか、国民はよく考えなくてはならない。

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