2013年9月 記事一覧

消費税の増税が実施されると、税の構造はどのように変わるのだろうか。
前のエッセイに書いたように、価格弾力性の低いものは価格に上乗せされる。電気、ガス、水道、電話といった公共料金やJR 地下鉄等の運賃等は、消費税分を上乗せして消費者に請求しても誰もそれを拒むことはできないだろう。
逆に価格弾力性の高いもの、たとえばスーパーやコンビニ、外食産業、コンサートのチケット等競争にさらされている業種においては価格への転嫁が進みにくく企業側が増税分を事実上負担せざるを得ないことにもなろう。

 

 

庶民は生活インフラにかかる公共料金は一斉に上がり、激しい価格競争にかかっている商品は価格転嫁しにくいため、利益率が相当程度下落する恐れは否定できない。そうした中にあって、経済成長が鈍化することも容易に想定されるところであり、経済全体に対する懸念は大きい。

 

 

ただ、この税制の変更による利点を指摘するとすれば、法人税や所得税のような直接税で取りきれない税収を間接税によって徴収することであろう。現在約7割の法人は欠損法人であり法人税を払っていない。これに対し税務調査での大きな改善を図っていくことは難しい。こうした現実の中で税を免れている法人に対し、消費税で大きな網をかけていくことは税の公平を確保する上では意味のあることかとも思料される。

2020年東京オリンピックが決まった。喜ばしいことだ。招致に努力された皆さんに心から敬意を表したい。
1964年の東京オリンピックから数えて56年ぶり。当時のことが思い出される。
折しも9月15日敬老の日に総務省から発表された人口推計によれば、65歳以上の人口が全人口の25%を初めて超えた。64年当時の青春時代を懐かしく思い出す人も多いだろう。

 

 

1964年の「東京オリンピック」は、日本の戦後の経済発展において、大変大きな意義があったと思う。東海道新幹線や、東名、名神高速道路、首都高や地下鉄、競技場やホテル等、社会インフラも大きく整い、カラーテレビは一般家庭に爆発的に普及した。戦後から脱却し1960年代、70年代の2桁成長を続ける中にあって、オリンピックが日本経済を大きくリードし、国民はその恩恵を実感した時だったのだと思う。東京オリンピックで日本の平均株価は約3倍にもなった。

 

 

夢よもう一度。国民の期待も大きい。
しかし、これから先の7年間、日本経済にとっては正念場だ。高齢化は進み、人口は減少しつつある。2040年頃には1億人を下回る水準になるといわれている。
財政赤字は極端なまでに大きく、累積の政府債務はGDPの2倍、1000兆円を超えている。
オリンピックを1964年の記憶のように経済の起爆剤にしたい気持ちは強いが、同時に当時のように公共投資を行いそれによって経済の活性化を図るといったことは期待しにくい。逆に財政赤字を拡大する危険が大きく、国債市場を不安定化させる懸念も大きいだろう。
諸外国からの選手や観光客を迎えるのに、豪華な競技場や過大な公共施設などではなく、市場に優しい「お・も・て・な・し」の心をもって日本の財政赤字問題を大きく改善させることの方が、世界に対する貢献ははるかに大きいと考えている。

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