2014年12月 記事一覧

今回(2014年12月14日)の総選挙は、予想通り自民党の圧勝に終った。
しかし、投票率は極めて低く、解散と同時に「何のための解散なのか」が問われ、選挙期間中も盛り上がりを欠けたまま終始した感は否めない。選挙の争点は何か、国民に対し何を問おうとしているのか、非常に見えにくかったと思う。反面、野党の方は解散に対して選挙の準備は十分とは言えず、選挙戦を効果的に戦うことができなかった。
解散は総理の専権事項であり、会期中いつでも解散をすることはできる。しかし、国民の信を問うに際しては、もっと争点を明確にしていく必要があったのではないだろうか。

 

いずれにせよ、与党は衆議院で3分の2の議席を取った。当然集団的自衛権に関する法案が審議され、憲法改正への動きが明白になっていくことだろう。まさに開票当日のテレビにおいて、安倍首相は念願の憲法改正に向かっていく姿勢を語っていた。
アベノミクスが争点だと言っておきながら、公約に書いてあることはすべてが争点だったといってもやはり後出しじゃんけんの感じはぬぐえない。
今回の選挙は、争点が明確でないままに秘密保護法、集団的自衛権、消費税増税、そうして憲法改正の方向まで支持を受けたような感覚が結果として残されつつあるような気がしている。

 

政府は国民に対し、選挙において何を問おうとしているのかより明確にすべきであるし、多数を持てばなおのこと、民意がどうであるか慎重に受け取っていくことが強く望まれるところである。

今回の選挙の争点は安倍首相によれば、「アベノミクス」だという。アベノミクスの是非を問い、それ以外の経済政策があるのかどうかということを繰り返し述べている。

しかし、アベノミクスと呼ばれていることの中身はいったいどのような事なのだろうか。

 

一つには、金融緩和。これは日銀の黒田総裁がとられた思い切った金融緩和策であり、これは大変大きな成果を上げた。民間資金の潤滑化も進み、円高も収まり、資産価格もしっかりとしたものとなり、その結果として実物経済にも資産効果がみられるようになった。これはアメリカにおいてバーナンキ前連邦銀行議長が行った金融緩和と同様、経済全体の安定化、発展のために大変大きな効果があったと言えるだろう。

 

しかし、その他の政策、すなわちアベノミクスで言われている第二、第三の矢、すなわち財政出動と成長戦略はどのような成果を上げているのだろうか。財政出動は、戦後財の希少性が著しかったころは、希少な資源を効果的に使うことで経済全体の起爆剤として効果をもたらしてきたことは事実であろう。しかし、現在の財政状況を見ると、その費用対効果が十分にあるとは言えない状況になってきている。政府の借入金の総額は、約1000兆円にもなっており、日本のGDPの2倍を超えている状況にある。

第3の成長戦略には、岩盤ともいわれる既得権益を打破していく思い切った規制緩和が必要だと叫ばれている中、特区を作る、地方創世のための税制上の恩典を図るといったむしろ官の関与を強めていく議論がなされるなど、成長への明確な道筋が見えない状態が続いているように感じられる。

 

さらに消費税の増税後経済全体が強い懸念を有する状態が続いていることを見ると、何が「アベノミクス」と呼べる経済政策なのか理解しにくい状態にあると国民は感じているのではないだろうか。金融緩和についても、日銀はいつまでも国債を今のペースで買い続けていくことはできない。民間の本格的な成長力による経済の活性化がもたらされるようなマクロ経済政策がとられることが大変期待されるところである。

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