2015年1月 記事一覧

日本人である湯川さんと後藤さんが、イスラム国に捉えられ、湯川さんが殺害されたとの情報が流れ、多くの日本人が、大きな悲しみに包まれている。テロは極めて卑劣であり、非人道的である。一刻も早くもう一人の人質である後藤さんが無事解放されることを望まずにはいられない。

 

しかし、本件についてはいくつかの疑問が残る。

第1は、中東に対する「人道的支援」として、「イスラム国対策として」2億ドルの支援が表明されたことに関するものだ。ここで疑問となるのは、一つにはどうやってその資金使途を制限し、その趣旨に沿った資金使途を確保するのかという点。もう一つは戦争地域の資金援助は、いくら人道的支援といっても、敵方から見れば、軍事力や、政治力、情報力、技術力等と同様に大きな軍事的な意味合いを持つことにつながりかねないと理解される恐れがあることだ。

第2には、そのような支援が仮に望まれるとして、中東地域にいる邦人の安否が不明である時点において、支援の表明がどのような反発を招く恐れがあるのか、外務省等の担当部局が十分な調査を行い、そのリスクを十分に認識をしている必要がある。ところがそのような形跡が今回はほとんど見えてこないことである。それどころか、このような大事件が起きても、交渉の相手も、交渉のチャネルや手段もほとんどつかめていないことは不可解でもある。

リスクを感じ、その対応策が描けない状況にあっては、首相の中東往訪も、支援の表明ももっと時期を選ぶべきだったのではないかと思う。

 

極めて残念なことに、罪もない日本人が残虐なテロリストに命を奪われた可能性が高い。

高いモラルを持ち国際貢献を行っていくことは大変重要だが、複雑に絡み合う国際的な諸問題の中で日本から遠い地域で日本の行動がどのように受け止められるのか、またそこにおけるリスクは何かをよく見極めていく必要があるのではないか。

集団的自衛権の議論を行っていくに際しても、こうした問題は多くの示唆を与えるものであると思う。

2015年度政府予算が決定された。

歳出総額96兆3420億円、史上最大規模の予算だ。国の借入残高(国債残高)が1000兆円を超え、GDPが500兆円を切っている状況にあっては、かなり大型の予算と感じられる。

 

多くの人が指摘するように、財政の健全化がなされることは急務である。

財政の健全化を図るためには、云うまでもなく歳入を上げ、歳出を抑える、あるいはその両方をやるしかない。

昨年は、消費税の増税が行われたが、それによる経済の減速は否定できない。特に中小企業への影響は大きく、経済が低迷すれば、法人税、所得税等への影響も心配されるところだろう。

 

歳出については、例を挙げれば、公共事業関係費の2年連続の高止まり、辺野古移転にかかる埋め立て工事、地方創生、防災対策、老朽化対策、整備新幹線、オリンピック等々、上げれば枚挙にいとまがない状況で積極的な支出が行われようとしている。

総じていうならば、このような大きな政府を目指しながら、経済を活性化しようとするのか、あるいは市場経済に根ざした、小さな政府を目指していくのか、これが国民に迫られている最終的な判断なのだと思う。

 

上から目線の政治的な判断で、歳出や規制を強化していくやり方で、経済の活性化を図るのは決して容易なことではない。むしろ思い切って歳出の削減を行い、小さな効率の良い政府を目指し、民間経済の本格的な復活を期していくことが急務なのではないかと思っている。

昨年末の総選挙は、解散表明がなされたのが11月18日、解散が11月21日、選挙の公示が12月2日、そして投開票が行われたのが12月14日であった。解散表明がなされてから1ヶ月も経たないうちにすべてが終わっているのだ。これでは本当の民意を問う姿にはなりようもない。争点が何かですら明確でないうちに国民は実質的な判断ができないまま無気力になっていくのだ。

 

諸外国においてはもっと民意をしっかりと聞く。個別事案ごとに民意を問う選挙が行われたり、世論調査機関が様々な事案を具体的な形で民意を確認し、マスコミがそれを大々的に報道するといったことが繰り返し行われる。典型的な例が、アメリカの大統領選挙だ。

 

アメリカの大統領選挙は言うまでもなく4年に一度であるが、大統領就任後2年後の中間選挙を終えたあたりから次の大統領を選ぶ候補者選びが始まるのだ。世論調査会社もそのころから2年間かけて、様々な世論調査を繰り返していく。民主党、共和党の大統領候補者たちも全米で自身の政策を直接国民に語りかけ、すべてのマスコミもそれを大々的に報道していくのだ。いわばすべてのマスコミを通じて大々的な政治教育が4年に一度あるいは中間選挙も加えれば2年に一度行われているということになる。

 

その中では、経済政策、税制、防衛、教育、公共事業、社会政策、医療、年金等々、すべての項目について誰がどのような考え方をもっているのか明確になる。また、議員たちも過去どの法案に賛成したか、反対したかすべて公表されている。

 

こうして明らかにされた政策を判断材料として、選挙民は投票を行うことができるのだ。

 

マスコミはテレビ、新聞、インターネット等を通じて総力を挙げて判断材料をわかりやすく提供する。4年に一度の国民に対する一大政治教育だ。米国人と議論していると小中学生でも、教育水準が特に高い層でない人々も自分自身のそれなりの意見を持っている。それはそうしたマスコミを挙げての大統領選挙そしてそれに伴う政治的大キャンペーンが莫大なコストをかけながらマスコミの報道を通じて行われているからではないかと思う。

主権在民の民主主義において国民の判断は極めて重要だし、それをどのように引き出していくかは大変大切な問題である。

諸外国の例も含め、国民に信を問う在り方は信頼のおける方法でなされるべきであるし、それを担っていくマスコミの役割は極めて大きいと考えている。

ページ上部に