2015年9月 記事一覧

「今でしょ!」で有名になった林修先生の出ている初耳学の番組でやっていたので見た人も多いと思います。スイスのハイウエーは、直線が大変長く作ってある、それは戦争になったときに戦闘機等が着陸できる滑走路となるように作られており、中央分離帯に当たる所も周辺の住民が取り外す訓練を受けているので、すぐに外せるようになっているというものでした。舛添東京都知事も番組の中で実態をよくご存じでした。

 

スイスは言うまでもなく永世中立国。そして強力な軍隊を持ち侵入してくるものに対しては断固として侵入を許さないという姿勢を堅持している。

 

スイスに入らなければ中立を守る。しかし、中へ入ろうとすれば断固としてそれを許さない。そもそも雪に覆われたアルプスの凍り付いた山道、ナポレオンの騎馬隊も、ドイツのオートバイ部隊も山道や天候を熟知するスイスのゲリラ戦にはとてもかなわないのだ。

 

スイスやオーストリアのように永世中立国として武力を使う基準を明確にしていることはとても分かりやすい一つのブランドだ。様々な国際紛争に武力を用いていくことは決して賢明なことではないだろう。専守防衛は日本国憲法の根本的な精神だ。

 

日本は様々な国際紛争に武力をもって首を突っ込んでいく国ではないし、それだけの軍事力も持ってはいない。東アジアの現状を鑑みるに、限られた軍艦等を本土から離れたところに後方支援と称して移動させるようなことは本土防衛を手薄にすることにつながっていくのではないか。

 

スイスと同じように、日本の高速道路もいざというときは滑走路として使えるようにといった本土防衛の発想を持つことも、大切なことなのではないかと思う。

9月19日未明、参議院本会議で安全保障関連法が可決され、安保法が成立した。

約60%の国民が反対をし、80%を超える人々が政府の説明は不十分、識者の多くは憲法違反と断じる中、両院ともに悲しむべき強行採決がなされるという情けなさだった。

また、反対する野党も、ありとあらゆる手を尽くして阻止すると息巻いていたが、国民はその対応にも情けなさを感じていた。

 

ところで、今後この法律が施行されるにあたりいくつかの問題に遭遇するのではないかと思われるが、そのいくつかを記しておきたい。

 

1つには、多くの憲法学者等が述べているように本法律が違憲と判断される恐れがないとは言えないことだ。最高裁においても違憲と判断された場合には、その修正を行う必要が出てくるのだろうが、そもそも立憲主義との関係において国際的にも影響の大きい安全保障にかかる問題だけに、その整理が大変難しいこととなるのではないか。

2つ目としては、自衛隊員が捕虜となったり、誤射して民間人にけがをさせたり死亡させてしまったりした場合の対処だ。自衛隊は軍隊でなくまた軍法会議もないという状況で、隊員個人個人がどういう義務と責任を負うこととなるのか明確にしておく必要がある。

第3に武器を使用しない平和主義日本のブランドが変化することによって国連PKOの平和的な活動に従事している人々が敵視されたり、棄権に巻き込まれる恐れが出てきたりということはないのだろうか。

第4に、個別的自衛権で自国を守る場合には日米安保条約をベースに米軍の支援を期することになるわけだが、集団的自衛権が容認されるとそれ以上の期待をどこかの国、例えばフィリピンやインドネシア、ベトナム等に期待することがありうるのだろうか、ということだ。集団的自衛権が容認されれば抑止力が高まるといった説明がなされたりするが、そのような期待が具体的にありうるのか疑問である。

第5に、近隣諸国の軍事的脅威が増すなら、日本本国の防衛をもっと力を入れてやるべきであって、戦力を海外に分散させるようなことは現実的ではないはずだ。

第6に日本の防衛のためには経済力が軍事力よりもむしろ重要な面も多々あり、そういった方向での世界への貢献を行っていくべきではないか。

 

ほかにも問題点は多々あると思うが、上記の諸問題はすぐにでも考えていかなくてはならないことではないかと思う。

2015年9月13日(日)NHKスペシャルで標記についての各党代表者の討議を見た。参議院における会期末に向けて、これまでに行われてきた安保関連法案について中身のある議論が行われていたと思う。

その中の議論でいまだに問題と指摘されていると思われる気付きの点を上げれば次のようなことであろう。

 

1.本法案について、現時点においても国民の理解は進んでおらず、80%以上の国民は説明不十分と感じており、6割を超える国民は現時点での採決に反対している。

 

2.集団的自衛権の限定的容認については歴代の内閣法制局、最高裁判所長官経験者、憲法学者等も違憲を表明しており、法的な問題を指摘している。

 

3.集団的自衛権の一部行使容認については、政府が最終的には「総合的に判断」して行うとされておりその中身が不明確であり最終的には時の政府の裁量が大きすぎることになってしまう。

 

4.集団的自衛権の一部容認をするためには「日本を守るために」という点が明確であることが必要であり、ホルムズその他地球の裏側まで行くようなことには問題がある。

 

5.そうした問題を防ぐためにも国会の事前承認が必要である。

 

6.諸外国からの脅威については、基本的に個別的自衛権の問題であり、日米安保条約等個別的自衛権の問題として認識すべきだ。

 

7.外国軍隊への後方支援はグレー地域まで活動範囲が拡大されておりそれが何を意味するのか明確でない。リスクは高まると認識できる。

 

8.リスクの高まりにつれて、国民は将来の徴兵制に繋がることを真に恐れている。

 

9.弾薬等の輸送は確実にリスクを高める。給油を行い出撃と組み合わせて繰り返されれば憲法違反の問題が生じる。

 

10.周辺事態法の考え方を明確にする必要がある。これに歯止めがかからず地球の裏側まで行けることには問題がある。

 

テレビ討論会で指摘された以上のような問題については、多くの国民が強い関心をもって見つめている。政府は、多くの国民が真に賛成でき、世論調査も明らかに国民が支持をしていることが明確になるよう、十分な説明を尽くすべきだと思う。

本年9月4-6日、日本テレビ系(NNN)が行った標記世論調査においても安保法案の今国会での成立に反対する人は65.6%と前月より7.8ポイントも増え、国民の反対は大変強いものとなっていることがわかる。(賛成は4.5% 前月比 -5.0%)    <NNN電話世論調査>【調査日】9月4日~6日 【全国有権者】2099人 【回答率】50.2%

 

安保関連法案については、様々な点において国民は疑問を持ち、不安を感じていると思うが、整理してみると、次の5点についての疑問を感じているのではないかと思う。

 

1.政策的問題   安倍首相は、安保関連法案は平和をより積極的に求めていくものだと説明するが、本当であろうか?日本は平和憲法の下、戦後70年間に亘り一度も戦争を行うことなく、平和を実現してきた。日本はいわば大変先進的な平和憲法を実践してきたわけであり、世界の国々も追随してくるような積極的平和主義を強力に推進していくべきではないか。                        皆が拳銃を持っていれば、そう簡単に拳銃を撃つことはできなくなるだろうといっても、85%の人々がピストルを所持するアメリカにおいては、年に1万人もの人々が毎年拳銃の犠牲になっているのだ。

 

2.法的問題   集団的自衛権が、憲法の規定と整合性がとれないとの指摘は依然として根強いものがある。多くの憲法学者、最高裁判所を含む裁判官経験者、内閣法制局長官経験者等多くの学識経験者が違憲であるとの認識を明確にしている。日本の領土や国民の命が危機にさらされた時、個別的自衛権をもって対処できると唱える主張はかなり根強いものがある。

 

3.立憲主義   「国政は国民の厳粛な信託によるものであって」公務員に対し「この憲法を尊重し擁護する義務を負う」としている立憲主義が、政府の閣議決定で積み重ねられてきた解釈を変えていくとを通じて崩されていくことなど想定できない。立憲主義が脅かされるものではないか。

 

4.財政的負担   集団的自衛権等地域を超えた活動を行っていくためには軍事上、情報上、その他あらゆるリスクやコストの上昇が想定されるところであり、そのような負担がどのような形でどのくらいの規模で出てくるのか予見できない。そうした負担能力が現在の日本にあるのか。

 

5.平和主義   日本は上記のような軍事的な貢献を目指すのではなく、個別的自衛権の堅持を前提として、それ以外の経済的、技術的、文化的、外交的等非軍事的分野で平和のために大きく貢献する道を目指すべきではないか。

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