2015年10月 記事一覧

9月24日、安倍首相は自民党総裁に再選され、会見を開いた。首相は「一億総活躍社会」のスローガン、そのための「新三本の矢」を発表した。
「第一の矢」は「希望を生み出す強い経済」。「戦後最大の国民生活の豊かさを目指す」としてGDP600兆円の目標値を明らかにした。
「第二の矢」は「夢をつむぐ子育て支援」。「希望出生率1.8の実現」、「教育再生」を掲げた。
「第三の矢」は「安心につながる社会保障」。「介護離職ゼロを目指す」「ずっと元気で生涯現役社会」を掲げた。

 

これまでのアベノミクスの三本の矢は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略であったが、これを新三本の矢と比べると、その表現においてかなりの違和感を感じさせるものとなっている。

なぜならば、これまでの三本の矢には、金融政策、財政政策、成長戦略といった、マクロ経済政策の活用という「手段」を書いていたのに、新三本の矢には、手段ではなく目標や将来へ「目指していること」等を述べているからである。

例えばGDP600兆円をいつまでにどのような手段で実現しようとするのか。希望出生率1.8%はいつまでにどのような政策で実現しようとするのか、「ずっと元気で生涯現役社会」の具体的中身はどういうことであってそれをいつまでにどのような政策手段で実現しようとするのかといった手段に関することである。

 

「一億総活躍社会」の実現というその中身がよくわからないと同様、「新三本の矢」は政策を語ろうとしているのか、夢やスローガンを述べようとしているのか、よくわからない。

与党である政党として、単なる目標や夢を記すのではなく、政策の在り方をより明確に示してほしいと願うところである。

集団的自衛権の代表的な例として第二次世界大戦後にできた北体制条約機構(NATO)がある。戦後、二度と悲惨な戦争を繰り返さないために、「アメリカを引き込み、ロシアを締め出し、ドイツを抑え込む」という考え方のもとにアメリカと西側主要国とで発足し、現在28か国が加盟している。

これらの加盟国は集団的安全保障体制構築に加えて、域内いずれかの国が攻撃された場合、共同で応戦・参戦する集団的自衛権発動の義務を負っている。

 

NATOの集団的自衛権と、日本で取り上げられた集団的自衛権とはどこがどう違うのだろうか。

1つには加盟国の数の違いだろう。ヨーロッパでは28ヶ国、日本では想定されるのはアメリカのみ。アメリカとは、日米安全保障条約があり、数多くの日本の基地の提供と、思いやり予算とで日本の国防に関するいわば保険をかけている状態にある。

日本が攻撃をされた時、一緒に戦ってくれそうなのは、安保条約に従ってアメリカ。それは日本が集団的自衛権の発動を条件付きにして可能にしたからではない。これまでの安保条約に従って安保条約を守ることからきているはずだ。

それでは何のための安全保障法制の改正であったのか意味がよくわからない。

日本本土を守るために必要なのは日米安保条約の誠実な履行であり、本土から離れても行う集団的自衛権の問題ではないように考えられるのだが。

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