2016年5月 記事一覧

今回の日本におけるサミットは、オバマ大統領の広島訪問もあり、歴史的な意味も深く持つ意義のある会議となった。伊勢志摩の気候も良く、日本の良さも堪能できるものであったろうと思われる。

しかし、5月29日(日)の16時から行われた池上彰氏の番組(16時、テレビ東京、夕方の池上彰ワールド)でも同氏が言っていたが、オバマ大統領の広島訪問という歴史的な出来事の陰に、サミット全体の印象が薄くなった感が否めない。池上氏も言っていたが、アジアからの首脳も来ていたということさえ多くの人は知らなかったのではないだろうか。

 

それぞれの首脳は、オバマ大統領はアメリカの次の大統領のことを、イギリスはEU離脱問題、ドイツは難民問題、オーランド氏は急激な支持率低下を、カナダは自身の結婚記念日、安倍首相も消費税と次の選挙が、それぞれ気がかりだったかも知れない。

西欧においては首脳同士いろいろな機会によく会っていると聞いた。どのくらいの頻度かは知らないが、おそらく仰々しくない感じでお互いに時々会って様々なことを話し合っているのだろう。日本は離れた島国であるため、どうしても構えた形になってしまうのではないだろうか。食事は何か、お土産は何か、夫人のおもてなしは何か等々、大切なことだとは思うが、それぞれの首脳が思い悩んでいる問題を気楽に相談にのってあげられるような会合を持つことも必要なのではないかと感じるところである。

イギリスの大手新聞社「ガーディアン」は、2016年5月12日、「2020年の東京オリンピック招致を巡り、招致委員会側が当時の国際オリンピック委員会(IOC)の委員で、国際陸上競技連盟(IAAF)の会長を務めていたラミン・ディアク氏の息子が関与する口座に130万ユーロを支払った疑惑があると報じた。」また、日本の複数のマスコミでも「すでにフランス当局が捜査を開始している旨、報じている。

 

また、日本の招致委員会で理事長を務めた日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長は、13日、東京都内で「業務に対するコンサルタント料で問題があるとは思っていない。招致活動はフェアに行ってきたと確信している」と送金の事実を認めている。

また、萩生田光一官房副長官も「正式な業務委託に基づく対価として支払った。適切な商取引だ」と記者会見で述べている。

 

これは由々しき問題であろう。疑惑を晴らすためには、この金は実質的に誰に渡されたものなのか、どういうことを期待したものか、どういうルートを通じて渡されたのか、相手方はどういう権限を有する者なのか、さらにどのような具体的な業務をサービスとして受けたのか、どのような技術やノウハウの提供を受けたのか、「正式な業務委託」の中身は具体的にはどのようなものか、その中身のボリュームは渡した対価として妥当なものと考えられるか等々、直ちに検証を行い、国民に対しわかりやすい説明を早急に行うべきである。

2016年のアメリカ大統領選挙も、民主、共和両党の候補が決まり、いよいよ最終段階に入ってくる。大統領選挙は4年に一度、国を挙げ、マスコミを上げての大政治教育でもあり、アメリカ国民は子供たちも含めて、大変貴重な政治選択を学ぶことになる。

 

今年は、共和党ドナルド・トランプ氏と、民主党ヒラリー・クリントン氏だ。

アメリカ人は選挙結果を見ると大変バランスよく両党から大統領を誕生させており、一つの党に連続して政権を持たせることはしていない。そうした観点からすれば、8年続いた民主党オバマ政権に続きさらに民主党の大統領を選ぶことは考えにくいところだろう。

 

一方、トランプ氏に対する日本のマスコミの評価はかなり低いものがある。暴言がひどすぎる、経験がなさすぎる、日本への風当たりが強い、交渉チャネルがなく日米関係の安定に不安が残る等々。しかし、大統領が変わると各省の幹部も大幅に交代し、それなりの人々が要職に指名を受けるのだ。それほど安定度が急に損なわれるといったことは考えにくいところだろう。

それより、アメリカ人は民間の経験を持つトランプ氏は、もっと効率がよく、既得権益から離れ、民間の発想を取り入れ、政治的にも新しい発想で、“Change” を実現してくれる人と期待している表れなのではないだろうか。

そうであれば、日本も変にアメリカ一辺倒のような過剰な日米関係に期待を続けるのではなく、より自主的な日本の立場を明確にしていくべきなのではないだろうか。日本が新しい発想を持ち行動していくことによって新しい国際関係を樹立していくべきなのではないかと思う。辺野古などに唯一の選択肢と異常に固執していく理由も薄らいでいく可能性もあるだろう。アメリカも日本もより自主的にしかも合理的に判断していくことにより、良い意味での“ギブアンドテイク”の関係が構築されていく良いチャンスととらえるべきなのではないかと思う。

日銀は連休前の4月28日、金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決め発表した。

2月に導入したマイナス金利の政策効果を見極めるということで、政策目標とする2%の物価上昇達成の時期を2017年度前半ごろから17年度中に再度先送りした。

 

株式市場は、現在の消費支出をはじめとする景気のもたつきや、熊本地震等の影響を軽減していく上で、サミットや参議院選挙に向けて、一段の何らかの金融緩和措置が発表されることが強く期待されていたところであった。しかし日銀からの説明では、「経済や物価の下振れリスクは引き続き大きい」としながらも、「必要と判断すれば追加的に金融を緩和する考えを重ねて表明」するにとどめる、という判断になったのだろう。

 

これを受けて、株式市場は4月29日500円超急落し、5月2日にもさらに500円超の下落となり、市場の失望を買うこととなった。さらに米国財務省は、4月29日、貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書で、日、中、独など5か国や地域を「監視リスト」に指定した。言うまでもなく円高は日本の輸出企業には大きな打撃であり、減益要因となる。そうした状況の中においては円高・株安の連鎖が止まらず、また「監視リスト」に指定されていること自体が市場における円高にさらに圧力をかけることにもなりかねない。

 

黒田総裁は「直近のデータを分析して最も適切な見通しをつくった。」と言っておられるが、おそらくその通りなのだろう。しかし過去のデータの分析だけではなく、市場の将来に向けての期待やシナリオ等、市場との対話を通じた対応も極めて重要である。

「必要と判断した場合には、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」こともまさに必要なことだと思う。

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