日本人である湯川さんと後藤さんが、イスラム国に捉えられ、湯川さんが殺害されたとの情報が流れ、多くの日本人が、大きな悲しみに包まれている。テロは極めて卑劣であり、非人道的である。一刻も早くもう一人の人質である後藤さんが無事解放されることを望まずにはいられない。

 

しかし、本件についてはいくつかの疑問が残る。

第1は、中東に対する「人道的支援」として、「イスラム国対策として」2億ドルの支援が表明されたことに関するものだ。ここで疑問となるのは、一つにはどうやってその資金使途を制限し、その趣旨に沿った資金使途を確保するのかという点。もう一つは戦争地域の資金援助は、いくら人道的支援といっても、敵方から見れば、軍事力や、政治力、情報力、技術力等と同様に大きな軍事的な意味合いを持つことにつながりかねないと理解される恐れがあることだ。

第2には、そのような支援が仮に望まれるとして、中東地域にいる邦人の安否が不明である時点において、支援の表明がどのような反発を招く恐れがあるのか、外務省等の担当部局が十分な調査を行い、そのリスクを十分に認識をしている必要がある。ところがそのような形跡が今回はほとんど見えてこないことである。それどころか、このような大事件が起きても、交渉の相手も、交渉のチャネルや手段もほとんどつかめていないことは不可解でもある。

リスクを感じ、その対応策が描けない状況にあっては、首相の中東往訪も、支援の表明ももっと時期を選ぶべきだったのではないかと思う。

 

極めて残念なことに、罪もない日本人が残虐なテロリストに命を奪われた可能性が高い。

高いモラルを持ち国際貢献を行っていくことは大変重要だが、複雑に絡み合う国際的な諸問題の中で日本から遠い地域で日本の行動がどのように受け止められるのか、またそこにおけるリスクは何かをよく見極めていく必要があるのではないか。

集団的自衛権の議論を行っていくに際しても、こうした問題は多くの示唆を与えるものであると思う。

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