安部内閣になって、急に憲法改正の議論が行われるようになった。
これについては、そもそも憲法というのはどのような法なのかをよく考える必要がある。
日本国憲法を見てもわかるように、大きく分けると憲法には基本的人権の尊重といった人権保証の部分(第3章)と、国の統治機構の構成を記す部分(国会、内閣、裁判所、第4-6章)等からできている。

 

 

歴史的には、憲法は国家組織に関する規定や政府の権限の限界を規定したものから、しだいに国民の人権の保証や主権在民の考え方を明確にする内容へと変化してきた。
イギリスにおいて1215年に制定されたマグナ・カルタ(大憲章)は、国王の課税権を制限するなど国王の権力の限界を規定し、また国法か裁判によらなければ自由や生命、財産を侵されないといった国民の権利の保護を明文化している。
この思想は、1628年の権利の請願、1642年の清教徒革命、1688年の名誉革命、1689年の権利章典、1776年のアメリカの独立、1789年のフランス革命等、市民革命や憲法の制定の流れにおいても引き継がれている。
国家権力の暴走を防ぎ、国民の基本的人権を守り、主権在民を守ってくことが憲法の最も目指すことであって、そのためにこそ三権分立や平和主義などが規定されている。

 

 

日本国憲法第97条(最高法規)には、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」との規定がある。
また、同じ最高法規の章、第99条には憲法尊重擁護の義務者として、立法、司法、行政にかかる者は規定されているが、国民は書かれていない。すなわち国の統治機構にいるものに国民を守るため憲法の擁護を義務付けている規定になっている。

 

 

そのように考えると、憲法の修正は今の硬性憲法において国民の大多数の者が修正すべきと考えるものを修正すべきであって、これまでの憲法の歴史や思想を大きく変更しかねない96条自体の修正を議論することはもっと慎重に行うべきと考える。

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