今年の日本シリーズは例年になく盛り上がった。被災地に本拠を置く楽天が、最強巨人軍に挑戦するという組み合わせもさることながら、24勝無敗という歴史的な大記録を作った田中将大投手の功績も計り知れないほど大きい。ペナントレース後も含めれば30連勝している田中を巨人は打ち崩すことができるか、これが7連戦を通じて多くの人の目をくぎ付けにした最大の理由だろう。期待にたがわぬ好試合の連続だった。

ただ、最終試合、第7戦の9回表、田中が救援の指名を受けたのには驚いた。前日160球を投げ12安打を浴びて敗戦投手。間を置かない連投では本来の力を出すことはできないだろう。どうしても勝たなければ最終の優勝決定戦。勝つためには、力にゆとりのある則本の続投の方が望ましいと多くの人が思ったに違いない。プロのスポーツ選手なら、情や根性ではなく、勝つために最善を尽くすのは当然だ。星野監督自身も大きく迷ったところだろう。

しかし、球場全体が田中のアナウンスを割れんばかりの拍手と声援で迎えたように、ファンは、日本で最後となるかもしれない歴史に残る名投手を胴上げ投手として見ておきたかったのだ。言うまでもなく、日本シリーズの優勝決定戦に臨んでいるこの状況自体、田中自身が一年がかりで大記録とともに作り上げてきたことなのだ。

プロは勝ち星や成績にこだわるのは当然だ。しかし、同時に、歴史に残す「気持ち」を「魅せる」ことも多くのファンから期待されているのだ。

田中将大投手をはじめとする楽天の優勝に心からの祝意を表したい。

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