消費税増税に関する議論が広く行われ、その法案が衆議院で可決された。しかし、これに関する見通しはいまだはっきりせず、政権与党内部においてすら方向性が見えない状態が続いている。
これは、税に関する議論が、国民すべての生活に大きく関わってくるものであり、その全体の姿が未だにはっきり示されないまま、国民の同意を得られていないところに根本の問題があるのではないかと思う。
つまり、税に関しては、クロヨン(964)、トーゴーサンピン(10,5,3,1)と言われるような税負担の不公平感の問題、国と地方の税収、税源をどのように図るか、直間比率をどう描くべきか、歳出削減をどう図り、どのような姿で、またどのようなスケジュールの中にプライマリーバランスを達成しようとするのか、といった議論が十分になされていないところに問題があるように思う。

そもそも、消費税率を引き上げた時に、税収総額は本当に増加するのだろうか。その時の税収構造はどのような姿になると想定されるのだろうか。これはそんなに簡単な問題ではない。
今年度(平成24年度)の日本の予算を見ると、税収が約42兆円。内訳は、所得税約13兆円、法人税9兆円。消費税10兆円。その他税収(揮発油税、酒税、相続税等)10兆円となっている。一方、日本の歳出予算は約90兆円。足りない分の44兆円が公債金収入(国債)という借り入れになっている。
ここで、消費税を5%から10%に税率を引き上げた時、税収構造はどのように変化するのだろうか。そして税収総額は本当に増えるのだろうか?
まず、消費税率の引き上げはどうしても経済の減速要因にはなる。消費税10兆円の税収は単純に2倍の20兆円になると考えることはできない。消費もかなり冷え込むことも想定しておかなくてはならない。

次に、法人税については、現在73%の法人が赤字決算となっており、法人税を払っていない。残りの22-23%の法人も赤字ではないが黒字幅が小さく僅かな法人税しか払っていない。金額の大きい法人税はほんの数%の法人によって支払われているという状況にあると言われている。そうした中、消費税はすべての法人の売上(粗利)にかけられるため、その負担は大変に大きい。

さらに、日本のデフレはインターネットで世界のランキング表を見ると183カ国中ダントツ1位だ。その状況で消費税を消費者に転嫁することかなり困難だ。消費税を消費者に転嫁できず、生産者が負担することとなれば、その税負担はその企業の経費となるため、利益が減少し、結果として法人税や所得税も減少することとなるだろう。
そうしたことを総合的に勘案すると、消費税率の増税は必ずしも税収総額を引き上げるとは限らないと考えられる。消費税率を増税して、税収総額が減少したのでは元も子もない。ここは、エコノミストの英知を結集してよく検討すべきところだと思う。

さらに、消費税率の引き上げによって税収総額が仮に増加したとしても、経済成長がここ20年間のようにあまり見られないとすれば、毎年継続的に行われる40兆円以上もの借入をどうやって減少させていくのか、つまりプライマリーバランスをどうやって達成していくのかその道筋を明確にしていく必要があるだろう。根本的な歳出削減を広範に行わずに、また民間の力を引き出す規制緩和を行わずにプライマリーバランスを達成していくことは極めて難しいのではないだろうか。

(以上、私見を思いつくままに書いてみました。読んで頂いている皆様のご意見やご批判、御教示等頂ければ幸いです。)

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